令和2年8月1日崩れ始めた伊吹山


■増えすぎた鹿に植生を破壊され、5合目から上の地面の多くがむき出しになった伊吹山。今のところそれほど危険もなく歩けましたが、登山道は、梅雨の長雨で洗掘され見るも無惨な姿に。

■頂上台地も柵で囲われた東エリアには16頭もの鹿を数えました。関係者の話によると囲い込む時に(雪が降る前に網を下ろし、雪解け後に網をあげる必要)大部分を追い出したそうですので、どこからか侵入したのでしょうか。見て回った限り、2カ所ほど、網と網の継ぎ目が開いており、網を固定するペグも抜かれていたのでおそらく鹿が頭や角で押し上げたのだと思います。持参したロックタイで仮補修しておきました。

■鹿が見えない西エリアでも花が非常に少なく、何か変。ただし、鹿の不嗜好ではないのですが繁殖力の高いサラシナショウマが花穂をたくさん出していました。

■どう考えても、この先伊吹山が元に戻ることはなさそうですが、3合目付近で西の尾根付近を見上げると、唯一明るい気持ちにさせてくれる生き物に出会いました。ただし、今後が心配。


■少し湿度が高い。


■2合目半


■クサフジ


■草むらの中にオオナンバンギセル


■スジクワガタが落ちていた。


■3合目


■保護区の中のユウスゲ


■オオバギボウシとシュロソウが混じる。





■コバギボウシ


■ヒオウギ





■ハクサンフウロ


■ハクサンフウロも網を出て自由になりたい? でも出ない方がいい。


■5合目。登山道補修部隊と出会う。お疲れ様です。


■梅雨の長雨で登山道が崩れている。シカが増えたために斜面が裸地化し、大量の雨水を受け止められなくて登山道に流れ込んだ。


■木の土留めが完全に浮いてしまっている。


■洗掘され、以前に設置していただいた土嚢も流されている。


■それでも何とかしようとしていただいている地元の方々。熱い思いがなければこんなことできない。


■6合目避難小屋の上部。洗掘されてできた澪筋が小屋の側面を直撃。


■ここも酷い。


■緑が残っているのはシカが食べない低木のコクサギのみ。


■コクサギが生えていないところは完全に裸地化。


■そこら中が裸地





■登山道の境目がわからなくなっている。


■表面の土がかなり流されている。


■洗掘!


■どこが道?





■傾斜がキツくなるほど裸地化による土砂の流出が顕著になっていく。








■土砂が流された跡を道と間違えて?ショートカット。


■8合目。50mくらいの距離(ズーム) 人間は襲ってこないと学習した個体か?


■ハゲ山になりつつある。


■柵の中だけが植生豊か。これが伊吹山の現実。


■カワラナデシコ。伊吹山に登り始めた頃には9合目までの登山道脇でもよく見かけたのに。


■この惨状を皆さんも知っていただきたい。


■花がほとんど咲いていない。


■何かが飛んできた。ミヤマクワガタ(小型タイプ)。


■これなんだろう?





■雲が湧き上がっている

https://youtu.be/hDbO5UbwwnE

■イブキジャコウソウ。これは匂いが強くシカも食べない? 葉をなでるだけで香りが手に付く。


■東エリア。(東、中央、西に分けて柵で囲んでいる。)。シカが食べないわけではないはずのサラシナショウマが花穂を伸ばしている。


■網の継ぎ目が開いている。ペグも抜けている。周りにはシカの足跡だらけ。


■持参したロックタイで仮補修。ペグも足で押し込む。





■鉄柵のスポット区画だけ豊か。シモツケソウも咲いている。


■いつもシカがたむろしている東エリア北斜面の「シカ牧場」




















■何度か数え直して計16頭。春から確実に数が増えている。おそらくどこからか侵入している。


■かろうじてヒヨクソウ


■東を離れ西エリアへ。クガイソウ。


■イワアカバナ


■キオンはシカが食べない。


■西エリアではシカは見たことがないけれど、アカソ以外花がほとんど見当たらない。何かおかしい。


■アカソに埋まるように咲くシモツケソウ





■岩の隙間に隠れるように咲くヒメフウロ


■ようやく見つけたイブキフウロ


■しかし、ハクサンフウロやエゾフウロが全く見つからないのはなぜだろう?


■キリンソウ





■花弁の基部に毛が密集しているタイプのナデシコ





■目を見張るのはシモツケソウ再生試験区








■ようやく見つけたコオニユリ





■キンバイソウ


■再び中央エリア。昔はここにもシモツケソウ群落があった。数は少なかったが、2年前にもいくらか残っていた。昨年、中央と東の柵の網が秋までボロボロだったことが原因か。いや、今年も侵入しているのではないか。


■ここの継ぎ目も開いている。補修。ペグも抜けていたが、地面が固くて刺さらず。





■下山中。ガレ場のような登山道。


■土砂が崩れているのをかろうじてコクサギが留めている。





■楽しいはずの登山が、暗澹たる気持ちになる。


■弥高尾根方向。もういやになる。しかも、シカの匂いが強烈。





■唯一の気晴らしがこれ。


■今年生まれた翼に白い斑紋があるイヌワシの幼鳥が舞っていた。しかし、こんな荒れた伊吹山で餌がとれるのか? 昨年生まれた幼鳥は巣立ってから7月に弱って保護されたが、死んでしまった。今年はちゃんと育ってほしい。せめて人間が脅かさないように静かに見守りたい。


■3合目、ユウスゲ保護区。





■昨年から頂上台地のニッコウキスゲもなくなってしまった。この先、伊吹山が元に戻ることはないのか。低山ながら百名山である伊吹山。今、深田久弥さんが、鉱山やドライブウェイに蝕まれ、さらに花があるのは保護区だけになってしまった伊吹山を見たとしたら、はたして百名山に選んでくれただろうか。

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