平成28年11月6日 御在所山 病気遭難に遭遇、そして自己嫌悪


■十数年前に登った懐かしい中道登山道で御在所山(1212m)へ登りました。

■登山口前の大石公園で元気な4人組の高校生くらいの男女に登山道までの道を教えて感謝され、ほのぼのとした気分になったり、大勢の登山者の中、昔を思い出しながら気持ちよく登っていました。ところが、頂上公園まで標高差約100mのところで病気遭難者に遭遇し、警察・消防への救助要請をするといったとても緊迫した事態に陥るなど、悪い意味で夢をみているような経験をしました。また、冷静でなかった自分のとった行動に対して自己嫌悪の気持ちが消えません。

■全行程13km、6時間12分


■有料駐車場に駐車。1日800円。 07:55


■登山口に向け温泉街を通り抜けます。





■廃墟となった温泉宿もよく見るとちらほら。











■よく見るとアマゴが泳いでいます。


■大石公園。ここで出会った若者の男女4人組に中道登山道までの道を聞かれました。教えてあげると、「ありがとうございます」といいながら元気に歩いて行きました。ところが、しばらくして走って降りてきました。そして、私に向かって「看板に通り抜けできないと書いてある」と驚いたように訴えかけます。そこで地図を取り出し、通り抜けできないのは車だけと説明し、その後しばらく先導してあげました。元気だけど礼儀正しく、可愛らしい4人でした。


■一見自然の滝のようですが石がコンクリートで固めてあるように不自然に見えました。


■鈴鹿スカイラインを横切ると中道登山道です。


■滑りやすい急登が続きます。


■巨石の連続です。


■おばれ石。懐かしい。 08:56





■今日は人が多い。


■ローソク岩。これも懐かしいなぁ。


■核心部の通称「キレット」 09:13


■渋滞しています。








■慎重に降りました。急ですがルートがしっかりしておりさほど危険ではありません。


■振り返り





■ハシゴも順番待ち。


■なぜこんなに巨石が多いのかと思いながら渋滞の中のんびりと風景を楽しんでいました。ところが・・・


■大岩の絶壁をトラバースする鎖場を通過をすると、前を歩いていた男性3人、女性1人の4人パーティーのうちの女性がゆっくり倒れ込まれました。どうしたことかと聞きますと、過去に脳梗塞を患った経験がおありで今回もそのようだとおっしゃっているとのこと。すぐに由々しき事態であると認識しました。 09:48

■携帯を見ると圏外です。今回渋滞もあって体力が十分残っていたので、男性の方たちに申し出て、これまでこういったことを経験して警察との連携などのノウハウを持っているだろう(と勝手に思い)ロープウェイ頂上駅まで、私が行って救助を求めることとしました。

■ここから本気モードになり、急いで標高差約100mの急坂を登り切り頂上駅に到着しましたが、「案内人」の札を掲げた方にあっさりと救助を断られ、自分で警察に通報してくれと言われました。

■こちらは藁をもつかむ思いで救助を求めていたので、断られたことがショックで動揺し、「連絡もとってくれないのか」と苦情をいいつつ携帯を見るとアンテナが立っているではないですか。すぐに警察に電話しました。

■電話してすぐに対応すると告げられ、その後、詳しい遭難位置や私の立場(通りすがり)や通報するまでの経緯を聴かれ、山上駅の案内人から救助を断られたと話している最中に、横から案内人が「そうじゃない」と口を挟んでこられたので、「そうじゃないか」と怒鳴って言い返してしまいました。

■あとで、反省し後悔しました。登山指導もされている御嶽ロープウェイや登山者が通報すると警察よりも早く対応される日本アルプスの山小屋の小屋番の方達のようになぜか考えた自分が悪いのです。通報は当事者でないと正確に伝えることができません。冷静な考えができず、申し訳ありませんでした。反省しています。

■警察にはもう一度現場にもどり女性の状態を確認して連絡することにし、現場に向かいました。相当焦っていたのか下山口を行きすぎたりして時間を少々ロスしました。

■現場に再度到着し、女性が金色のレスキューシートにすっぽりとくるまれている状態で、動けないままであることを確認し、警察、消防がすでに対応していることを告げました。そして、この状態を報告するためにもう一度頂上駅に急いで戻りました。

■すると今度は消防から電話が入り、あと30分で頂上駅に到着するから、現場まで案内してほしいとのこと。警察から携帯番号が伝わっているようです。

■11時過ぎに、ロープウェイで上がって来られた消防のレスキュー隊と合流し、先導しながら下から登ってこられる登山者の皆さんに道を譲るようお願いしながら下りました。

■写真中央の人が立っているテラスの手前が遭難現場(遭難者に出会う前に撮影)。ここまでは鎖場のトラバースを楽しんでいました。


■救難に来てくださった頼もしい若者たち。分割タイプの担架を担いでおられます。現場はこの下。お待たせしました。時間がかかり遭難者は不安であったと思います。倒れられてから1時間半かかりました。しかし、これでも山では早いと思います。案内人様に悪態をついてしまいましたが、ロープウェイがあったおかげです。 11:23


■その頃上空では救難へり「みえ」が旋回しています。


■隊員がダウンバーストが発生するから、登れる人は登って、それ以外は何かにつかまってじっとしているように指示をされています。現場のやや上の岩のテラスにいた私は登ることとして、登り切った展望所で様子を見ていました。

■強風のため、何度か旋回とホバリングを繰り返している様子です。ほんとにピックアップできるのか不安な気持ちで見ていました。


■遭難者を発見してから2時間後、ホイストのワイヤーが降りてくるのが見えました。 11:48


■要救助者が隊員とともに上がっていきます。


■女性の様子が気になりましたので、後で写真を拡大して見ました。つり下げ用のシートの端をしっかりつかんでおられます。命に別状はないようです。よかった。また、山に登られるように回復されることを切に祈っています。

■ヘリの中に収容されました。これで一安心。








■へりはゆっくり旋回しながら三重の街に飛んでいきました。映画のワンシーンのようです。それにしても、強風の中で体制を整え、救助された救助隊の皆様のプロの仕事はお見事でした。

■楽しい登山と遭難は紙一重だと改めて思いました。


■とりあえずは、一件落着し、あとは自分モードに。


■三角点到着 12:03


■あのドタバタが嘘のように穏やかな時間が流れていました。最高点まで行き引き返します。


■存在感のある雨乞岳


■三角点を振り返り。三角点付近を通過中に声をかけてくる若者がいました。登り口手前で会った若者達です。遭難騒ぎに気づいていませんでした。同じ道を通ってきたのに不思議です。遭難者がレスキューシートにすっぽりとくるまれていたから分からなかったのでしょうか。登山は初めてでとても楽しかったとのこと。またどこかの山で会うかもしれませんね。下山も気をつけて。


■当初の予定では国見岳に登ってから尾根道を降りようと思っていましたが、予定外に時間がかかったことから、登らずに谷道(裏道)を下山することにしました。








■国見峠 12:38





■よく見るとロッククライミングをされている方が岩にへばりついておられる。








■藤内小屋。 13:17


■岩のルート





■ここでも登っておられる。


■下を見ると若干恐い橋


■鈴鹿スカイラインの下を潜ります。


■駐車場着。登山自体は楽しかったものの、遭難者を前にしてとった自分の態度に自己嫌悪しています。色々な意味で勉強になりました。


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