平成28年10月8日山門水源の森2050シンポジウム


■琵琶湖博物館で行われた「山門水源の森2050シンポジウム」を聴いてきました。

■山門水源の森を次世代に引き継ぐ会会長のご挨拶に引き続き藤本理事による「山門水源の森の生態系異変」と題したご講演がありました。内容は前回の現地交流会でのご講演と重複しますので、省略させていただきますが、人の関わりによって多様性が保たれることと、そのためには多くの人の協力と労力、さらには資金が必要であることを再認識しました。


■続いて鳥取大学の日置佳之先生による「大山のブナ林の保護・管理・再生」についてのご講演。

■大山にはまだ鹿の害は広がっていないのですが、周囲からナラ枯れが迫っており、大山のミズナラ帯に今後被害が及ぶ可能性を指摘されていました。そのことにより大山全体の植生への影響も懸念されるということです。

■また、温暖化によって、ブナ帯がより高い位置に移動することも考えられるということでした。

■大山は、大山隠岐国立公園であったり、鳥獣保護区の特別保護区であったり、森林生態系保護地域であったり、ダイセンキャラボク林が天然記念物であったり、複数の法律で保護されており、調査をするにも複雑な手続きが必要とのことでした。

■大山山頂は崩壊が続いており、登山者の通行禁止区域をもうけたり、登山者に協力を仰いで流出土砂の石や木を山頂まで運ぶ「一木一石運動」をおこなっているそうです。30年間続けて、植生は大幅に回復したそうです。


■続いて、京都大学の高柳敦先生の「自然林における鹿の影響とその対策」についてのご講演。

■森林保全や管理を考えるときに鹿がいることを前提とするべき。

■鹿が増えた理由は地球温暖化や拡大造林などのいくつかの理由が考えられるが、一番は猟師だけでなく鉄砲もって野生動物を捕る人が減ったこと。

■芦生演習林での研究で、鹿の適度な利用密度によっては多様性が保たれること。

■これまで、鹿防除柵についての研究がほとんどされてこなかったが、鹿の進入をほぼ完全に防止できる「AF規格」の柵を提案

■網の高さが2m、網下部の外側の表土を30cm程度覆う、目合いは5cm以下など。

■さらに集水域の尾根全体を囲んで、鹿に入られない場所と学習させる「集水域防護」を提唱

■この点で「引き継ぐ会」が現在行っているスポット防護は機能しているが不十分。

■伊吹山ではAF規格の防除柵が使われている。

■究極的には若いハンターが増え、牛肉の代わりに、鹿肉を食べるようになることが将来的に重要。



■10月30日まで開催されている「山門水源の森の自然と保全」のパネル展示にて。滋賀県内の鹿による食害の現状


■藤本理事によるご講演


■消えてしまったギフチョウ


■機能しているが不十分な防護柵(by高柳先生)


■2050年を見据えた取り組み計画。頭が下がります。


■日置先生による「大山のブナ林」保護に関するご講演


■高柳先生による「鹿の影響と対策」。京大芦生演習林での実験結果を踏まえてのご講演。


■ニホンジカ増加の要因


■AF規格の防護ネットにより絶対に入れないことを学習させることが大事


■ボランティアレベルでは難しい。


■AF規格








■柵の外側の土の表面を30cmほど覆うことによって、鹿が侵入できなくなる。


■山門水源の森の現状。厳しいご意見も。


■集水域防護の提案


■伊吹山で進む防護柵


■3つの管理策


■生態系保全のためには狩猟が必要


■狩猟が重要な理由


■結論


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