平成30年7月8日 ワタカのいる小水路


■琵琶湖淀川水系固有種のワタカというコイ科の魚がいます。かつて圃場整備が進んでいなかった時代に、雨による水位上昇で琵琶湖の水かさが増した時に、水陸移行帯である田んぼに入り込んで稲を荒らす害魚でもありました。草食に偏った雑食性で、水草や水に浸かってしまった陸生植物まで好んで食べます。

■梅雨から梅雨明けのこの時期に彦根のとある小水路に、このワタカがなぜか集まってくるのですが、おそらく産卵のためだと思います。この3日間の台風と梅雨前線の停滞によって、滋賀県を含む西日本各地が水害に見舞われてしまいましたが、この水路では水位上昇により、陸生植物が冠水し、その浅場にたくさんのワタカが群れになって乗り上げるように泳いでいました。

■産卵していたかどうかはわかりませんが、かつてこの時期に「魚島」となって沿岸へ押し寄せていたといわれていた頃をほうふつとさせる風景が展開されていました。

■かつては邪魔になる程いたこの魚も、今では西の湖など一部の内湖で細々と生き延びているだけになってしまいました。この水路では大きな個体ばかりで稚魚や若魚は見られません。たとえ、卵を産んでもブルーギルや、春に産卵期を迎えてすでに成長したオオクチバス稚魚が周りにたくさんいるなかでは、ワタカの稚魚が生き残るのはかなり低い確率でしょう。彦根城のお堀ではかつて水草対策にワタカを放流したと聞いたことがあります。今見ている大きなワタカ(30cm位か)も放流由来かもしれません。

■水面がざわついている。


■原因はこれ。


■ワタカの群れです。


■普段は土手の部分が冠水して、そこへ入り込んでいる。


■30cmくらいはありそうです。





■頭のすぐ後ろの背中が盛り上がっているのが特徴


■草を食べるので馬魚ともいわれる。


■水質が悪そうなところでも平気で泳いでいることがあります。かつて、琵琶湖南部の内湖に流れ込む市街地の三面張りの水路に浮かんでいたヘドロのようなものをついばんでいるのを見たことがあります。


■側面から見ると銀色をしている。


■表層を群れで泳いでいることが多い。


■背びれが水面に出そう。


■かつてはこんな感じで田んぼにも入り込んでいたのでしょう。





■肉厚の立派な体形


■最後にコイもお出まし。ずんぐりとしているので、在来ではなさそう。手前にはブルーギル。


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